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ボートレース津70周年記念参戦中 高田ひかるが教えること

2022.05.09

最先端をゆく物理学者はいう。
「すべてを包含する統一理論にたどりつきたい」

古代ギリシャ時代、“万物は火・空気・水・土の四つの元素からなる”などと唱えられていた。
また、光のスペクトル(プリズムによる色の帯)を解いたアイザック・ニュートン(1642年~1727年)は“万有引力の法則”を発見。あらゆるモノの動きを解明し予測可能にした。
しかし、約150年後、アルベルト・アインシュタイン(1879年~1955年)の“相対性理論”によって完全性を否定される。
その新理論こそ完全無欠とされ、アインシュタインは「神はサイコロを振らない」とまで言っていた。
ところが、“量子論”の登場がその完全性をまた覆す。“相対性理論”では極めて小さな世界における不確定性を説明できなかったのだ。

いま、世界の物理学者はすべてを説明できる“統一理論”を必死で追っており、“超ひも理論”が研究の先頭を走っている。詳細が分からずとも興味深い。

ただ、そのような最先端物理学者が過去の理論や法則を完全否定しているかというとそうではない点も面白い。
元素論も万有引力の法則も相対性理論も意味や意義、そして実効性があるというのである。
例えば、万有引力の法則は今でもロケット打ち上げに欠かせない理論。設計の基礎であることには変わりはないし、天体の運行予測はここがスタートだ。
だからこそ古い理論を学ぶ必要があるという。過去のもの!…と捨てることはできないのだ。

スポーツの世界も同様。日進月歩で新理論が続出している。
野球のバッティングを巡っては議論百出。かつて主流だった“ダウンスイング”は非主流になりつつあり、バットや身体の使い方は逆流しているといってもいい状況だ。
そして、これだけの進化の過程にありながらバッティング理論は完成していない。打率3割を超える打者の数をみれば分かる。
5月8日時点、セントラルリーグで6人、パシフィックリーグで7人しか3割超えがいないのである。
2割5分打てれば中軸に相当するというのが現実は昔と変わっていない。

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いまボートレース津では開設70周年記念“G1ツッキー王座決定戦”を開催中だが、これに参戦中の高田ひかる【写真2枚とも】は新理論と旧理論の両方を知り、取捨選択している稀有なレーサーといっていい。
今月末に行われるボートレースオールスターに初めて選ばれたのもうなずけるものがある。

その成長の要諦は傾聴にある。
現役にとどまらず高齢の元レーサーの意見や手法に耳を傾けてきたのだ。
いわゆる昔話を面白がって聞いてきたのである。結果、“圧倒的な伸び”が生まれた。

「とある人からこっちの方がいいんじゃない、と言われたのがきっかけ…」と語るように、素直に人のアドバイスを取り入れた。
…とある人とは、藤山翔大だ。
藤山翔大は今、ボートレース界にひとつのスタイルを築き上げているが、それがカタチになる前に自らの変革に挑戦したのである。
その成果が地元津の周年記念で見られる。
高田ひかるは、きょう9日の初日は前半2Rで2着。伸び足を生かしたまくり差しだった。
後半10Rは2コースからまくり敢行も6着。しかし、持ち味を発揮している。
流れは悪くない。明日2日目こそ一撃に期待したいものだ。

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