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レースリポート

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生き方を学ぶ歴女 西橋奈未

2021.09.15

満30歳未満(9月1日時点)の勝率上位者たちによって争われるヤングダービーは、プレシリーズとしてイースタンヤング&ウエスタンヤングが設けられており、東西の覇者と前年度優勝者に優先出場権が与えられている。ここ数年は参戦メンバーの15%ほどが女子レーサー。今回も8名が参戦する。
その女子最年少が西橋奈未(福井支部25歳)【写真】である。

2016年11月のデビュー以降、順調に成績を伸ばし、2020年後期に初めてA2に昇格。1年後の今期(2021年後期)は勝率6.61で初A1となっている。
「デビューした当時は先輩方との差があまりに大きく、どうやったら追いつけるか不安でいっぱいでした」と語るが、「ゴールまで絶対にあきらめない」精神を通すことで記念戦線に名を連ねるようになっている。今回の徳山・ヤングダービーは4回目のG1である。

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ただ…、
きのう9月14日、大きなフライングを切ってしまった。
男女混合戦のびわこ2Rである。
1号艇だった西橋奈未は前付け艇を制しインを死守したが、コンマ09のスリットオーバー。
「非常識なフライング」で即日帰郷となった。
この「非常識なフライング」とは、コンマ05以上のフライングを指し、その日のレース終了時点で帰郷処分となる。

ちなみに、西橋奈未は10月29日から30日間のF休みとなるため、11月23日からの多摩川レディースチャレンジカップ(G2)は選出除外となってしまった。本人のみならずファンのショックは大きい。

ただ…、である。(ただ…の連続ですみません)
西橋奈未は、そのショックを跳ね返した。
「ゴールまで絶対にあきらめない」精神の発露である。

非常識なフライング直後のびわこ7R、5コースからコンマ16の最後尾スタートながらまくり差し、バック5番手につけると、2マークもまくり差しを敢行。3番手に躍り出た。
続く2周1マークも先行艇の間を割り差し、先頭ゴールを果たしている。こんなレーサーがいただろうか。
正真正銘「ゴールまで絶対にあきらめない」プロフェッショナルだ。

その「生き方」の背景には、高校時代に取り組んだ弓道があり、歴史上の人物に学ぶ姿勢がある。
西橋奈未は「歴女」なのだ。
困難な時代のなかにあって状況に負けず、結果を怖がらず、信念を通した人物に憧れてきた。
つまり、そんな歴史上の人物の精神性を身に刻んでいるのである。

徳山ヤングダービーに臨む西橋奈未に弱みはない。
むしろ、逆境に立ち向かっていくだけだ。
9月21日、西橋奈未の歴史物語の幕があく。

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