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レースリポート

(C)BOATRACE

「達成感」などという軽々しいものを求めているのではない 平山智加

2021.07.18

「この大会は悔しい思いがたくさんあったので…、優勝できてうれしいです。優勝戦の前、同期の松本晶恵や、同県の山川(美由紀)さん、西村(美智子)さんにいろんな言葉をもらえました。まだまだ課題はたくさんありますが、こういうレースができるように毎節頑張りたいと思います。コロナで大変な中、ご声援ありがとうございます。レディースチャンピオンを取ることができてうれしいです。これからもファンのため、家族のため、心を込めて精いっぱい走ります」

昨年8月、ボートレース多摩川で開催された「プレミアムG1レディースチャンピオン」で優勝した平山智加はこう語り、涙した。
2コースから意表を突くまくりに出たが、それはとっさの判断だった。事実、「差すか、まくるか半々だった」と振り返っているが、一方で、「勝つならまくりだろうと思っていた」とも話している。大敗のリスクを伴う一種の「賭け」に出た思い切りが栄冠を導いたのである。
「優勝だけを目指して、心を込めて走りたい」という戦い方の宣言をそのままカタチにしたといっていい。レディースチャンピオン5度目の優出での「悲願達成」であった。

ただ、「達成」といっても平山の場合、そこがゴールではない。というか、見えないゴールに向かって前進し続けようとするタイプである。

(C)BOATRACE

自身のYouTubeでこんなことを語っている。
「出産を経験して母親というものの偉大さが分かりました。出産は大変だけどゴールではない、子育てのスタート。それも終わりのないスタートです…」。

人間の大きさが表れている。
「こういうレースが1つでも多くできるよう、支えてくれているファンの方、家族のために心を込めて、精一杯走りたい」とは、達成感に浸るのではなく、終わりなき未来に向け歩もうというメッセージにほかならない。

自ら、関係者に働きかけ調整し実現しているオリジナルYouTubeチャンネルに、将来のボートレース界への願いが込められている理由がそこにある。
往年のボートレースファンだけでなく、初心者に向けた親切な入門編があるのは、社会への感謝と、プロセスの連続でしかない人生という旅を、ファンとともに内容濃く過ごしていきたいという思いがあるからだ。
「選手とファンは、立場が違えどもボートレースをする仲間である」と平山智加は行動で語っている。

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